今日は久しぶりに東京での対面レッスンを行いました。普段はオンラインでレッスンをしている生徒さんですが、やはり対面でのレッスンは情報量が全く違い、大きく進歩してみえる事を確かめる事ができました。現在は、正しい姿勢と高い響きのポジションの上に、喉頭の後ろの空間を広げ、その空間を感じながら歌うことを学習していますが、対面でその生徒さんの生の声を聞くと、歌声が口から聞こえてくるのではなく、周りの空間がよく響いている事がはっきりと分かりました。

どこかに声の焦点を当てるという方法ではありません。正しい姿勢・豊かな表情・高い響きのポイントという土台があった上に、喉頭の後ろの空間を十分に広げる事ができると、私たちに本来備わっている発声のメカニズムがしっかりと機能して豊かな響きが生み出され、それが歌い手の周りの空間を響かせます。これがベルカント唱法ならではの歌声です。
さて、午後からは日本ロッシニー協会の例会でした。今回の例会は、8月にイタリアのペーザロで開催されるROF(ロッシーニ・オペラ・フェスティバル)の予習会ということで、まだ映像や音源が少ない「エドゥアルドとクリスティーナ Eduardo e Cristina (1819年 初演)」について、作品の成立の過程や特徴について詳しく知る事ができました。また、最近のロッシーニ研究の流れや、ロッシーニの作品がナポレオンのイタリア侵攻と大きく関わっていることなど、大変興味深い話を聞く事ができました。ベルカント唱法を追求していく中で、やはりロッシーニはとても重要な作曲家であることを改めて実感する時間となりました。