テノール歌手 酒向隆憲 Official Web Site
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ベルカントの歌い手は、瑞々しく美しい歌声をマイクを使うことなくホールの隅々まで届けることができます。その歌声は聞き手を一瞬で惹きつけ、ダイレクトに心に語りかけてきます。
力強いフォルテはもちろん、繊細なピアニッシモでもその歌声は客席に届きます。歌い手は顔を真っ赤にしながら力を振り絞って歌うのではなく、自信に満ちた表情で情感たっぷりに、時には聴衆への気配りもできるような余裕までもちながら…。
さらに、迫力あるオーケストラの音も楽々と乗り越えて声を響かせたり、まるで楽器のように速いテンポで細かい音符を楽々と歌いこなしたり… 。
このようなことを可能にしているのが、オペラ歌手や声楽家が身に付けている歌唱法で、ベルカント唱法はその代表的な歌唱法の一つです。ベルカント唱法のルーツは16世紀にイタリアで誕生したオペラにあります。初期のオペラは貴族の館の広間でセリフを歌に乗せて伝えるシンプルなものでしたが、時代とともに音楽的にも充実し、広い空間でオーケストラを伴って上演される大規模なものへと発展してきました。そして、それを支えるベルカント唱法もオペラの発展に合わせて確実に進化し、楽器のように細かい装飾音や速い音符を自在に歌ったり、大ホールでも迫力ある歌声を響かせたりするなど大きな発展を遂げてきました。現在では世界で最も一般的な歌唱法の一つとして定着しています。
ベルカント唱法(belcanto)は、特別に恵まれた身体や発声器官を必要としない、人の体を効率よく最大限に活用することで豊かな歌声を生み出すことのできる歌唱法です。ですので、欧米人のように大きな骨格をもたない日本人にとっては、まさにうってつけの歌唱法なのです。イタリアで脈々と受け継がれてきたベルカント唱法のメソッドは、正しく学べば誰でも身に付けることができます。さらに、オペラや声楽曲などのクラッシックのジャンルだけでなく、その他のジャンルの楽曲にも応用可能な懐の広さも持ち合わせています。つまり、ベルカント唱法を身に付ければ、どんなジャンルの曲であっても瑞々しく魅力のある声と抜群の安定感のある歌唱ができるのです。
本サイトでは、このベルカント唱法の基礎から発展的な内容まで紹介しています。そして、ベルカント唱法を習得するにあたって経験や感覚的な事のみに頼るのではなく、「体のどの部分をどう動かし、その結果としてどんな声が出るか」というように、できるだけ自分がやっていることを客観的に捉えられるようにしています。
ところでベルカント唱法を歴史的に振り返ってみると、昔は「フィオリトゥーラ fioritura」 と呼ばれる華麗に装飾された旋律を演奏する装飾歌唱「カント・フィオリート canto fiorito」に重点が置かれていたことが分かっています。しかし、それに続く時代には「力強く響く声と劇的な表現」がもてはやされ、装飾歌唱は長い間失われていました。近年になってその良さが再発見され少しずつ復活してきました。現在ではロッシーニをはじめとする装飾歌唱を必要とするオペラの公演が世界各地で行われるようになりました。
さて、この装飾歌唱を可能とするための鍵となるのが「アジリタ agilità」 と呼ばれるテクニックです。これは声を転がすように歌うためのテクニックで、コロラトゥーラ coloratura とも呼ばれます。歌唱技術を向上させ表現の幅を広げる意味でとても重要なものなので、その歴史的変遷や練習方法について詳しく紹介させていただいております。
歌を愛する多くの方々に、ぜひベルカント唱法の素晴らしさを実感していただき、ご自身の歌声の可能性を広げ、歌うことや音楽を表現することの喜びを味わっていただきたいと願っております。
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